【質問】日本でもっとも標高が高い山は実は「富士山」ではなく「沖ノ鳥島（おきのとりじま）」だと聞いています。地球が完全な球体ではなく、地球の中心から標高を計測するとそうなるというお話ですが、できるだけ詳しくお話願えませんか？
https://www.t-borderislands.metro.tokyo.lg.jp/okinotorishima/
「日本で最も標高が高い山は実は富士山ではなく沖ノ鳥島」というお話ですね。これは、地球の中心からの距離（地心距離）で考えると、沖ノ鳥島の方が富士山よりも遠くなるという事実に基づいています。詳しくご説明させていただきます。
地球の中心からの距離（地心距離）とは
通常、山の高さは海面からの高さ（標高）で表されます。しかし、地球は完全な球体ではなく、赤道部分が膨らんだ回転楕円体に近い形をしています。そのため、同じ標高の山でも、赤道に近い山の方が地球の中心からの距離が遠くなります。この地球の中心からの距離を「地心距離」といいます。
沖ノ鳥島と富士山の地心距離
沖ノ鳥島は、日本の最南端に位置する島で、緯度が低いため、富士山よりも地球の中心から遠くなります。
沖ノ鳥島: 標高は満潮時には水没してしまうほどわずかですが、海底からの高さは約7,000m以上あるとされています。地心距離は約6,378kmです。
富士山: 標高は3,776mで、地心距離は約6,371kmです。
このように、地心距離で比較すると、沖ノ鳥島の方が富士山よりも約7km地球の中心から遠いことになります。これが「日本で最も高い山は沖ノ鳥島」と言われる理由です。
沖ノ鳥島の海底の様子
沖ノ鳥島は、海面からわずかに顔を出している岩礁ですが、その海底は巨大な火山体となっています。海底から山のようにそびえ立っており、その山頂部分が海面上に現れているのが現在の沖ノ鳥島です。海底からの高さは約7,000m以上と推定され、これは海面からの高さが世界一のエベレストに匹敵するほどの高さです。
地球の中心からの計測による日本の山の標高ベスト10（推定）
正確な地心距離のデータは限られており、詳細なランキングを作成するのは難しいですが、緯度と標高を考慮した大まかな推定として、以下のようになる可能性があります。
沖ノ鳥島
南鳥島
硫黄島
富士山
北岳
奥穂高岳
間ノ岳
槍ヶ岳
赤石岳
大雪山
緯度が低い南の島々が上位に来る傾向にあります。
なぜ地球は完全な球体ではないのか
地球が完全な球体ではない理由は、主に地球の自転による遠心力が関係しています。
自転による遠心力: 地球は自転しており、その遠心力によって赤道付近が外側に引っ張られる力が働きます。この力が、地球を赤道方向に膨らませる要因となっています。
地球の内部構造: 地球の内部は均一な物質で構成されているわけではなく、マントルなどの流動性のある物質が存在します。このことも地球の形状に影響を与えています。
これらの要因が複合的に作用し、地球は完全な球体ではなく、赤道部分が膨らんだ回転楕円体に近い形になっているのです。
科学的側面からの補足
ジオイド: 地球の形状をより正確に表す概念として「ジオイド」があります。ジオイドは、平均海面を地球全体に拡張した面で、地球の重力によって決まる形状です。地球の質量分布の不均一性などの影響を受けて、完全な楕円体とは若干異なった複雑な形状をしています。
測地学: 地球の形状や大きさ、重力などを研究する学問を「測地学」といいます。近年では、GPSなどの技術の発達により、地球の形状をより高精度に測定することが可能になっています。
まとめ
「日本で最も標高が高い山は実は富士山ではなく沖ノ鳥島」というお話は、地球の中心からの距離（地心距離）で考えると事実です。沖ノ鳥島は、海底からの高さが非常に高く、緯度が低いため、富士山よりも地球の中心から遠くなります。地球は自転による遠心力などの影響で完全な球体ではなく、赤道部分が膨らんだ形をしているため、このような現象が起こります。
上記の説明で、ご不明な点が解消されましたでしょうか。もし他に気になることがございましたら、遠慮なくご質問ください。できる限り丁寧にご説明させていただきます。